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成功に導くための経営計画を立てるために答えるべき5つの質問

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質問1:「本当にやりたいことは何か?」定義する


この質問、あらためて聞かれると、答えるのに戸惑ったり躊躇する方も多いのですが、よくよく考えた末に答えがないという経営者は、まず、いません。

ただ、経営者の意識の表面は、日々の売上、資金繰り、社内の人間関係等々で占められていますから、それらを取り除いてからでないと、質問に答える準備が整わないだけなのです。

「本当にやりたいことは何ですか?」と聞かれて、パッと答えが出ない場合は、次の2つの質問が役に立ちます。だいたい、答えが出てきます。

「過去にやろうと思って、まだ実現していないこと」は何か?

これはたくさんあるはずです。過去のことなので、新しく考える必要はなく、思い出せばよいので難しくありません。

筆者自身も、過去のノートに書いたことや、パソコンに保存されているデータをたまに見返して、「あぁ、あのときは確かにこんなこと考えたなぁ」と、当時の心境を再体験することがあります。

その後、忙しいとか、他のことを優先するとか、ちょっと試してだめだった、等々、様々な理由で忘れ去られていたのです。

しかし、あらためて「過去にやろうと思って、まだ実現していないこと」を思い出し、今からでもやる価値があると思えるならば、それが「本当にやりたいこと」の候補です。

初対面の方との面談でも、ある程度、現状についてうかがった頃合いで、「ところで、○○社長は、どうなりたいたいと思って、この会社を始められたんですか?」とお尋ねします。 すると、深呼吸して数秒間、宙の一点を見つめたのち、パッと顔を輝かせて創業当時の思いをお話しいただくことが多々あります。

「制約・しがらみなしで考えていいんだったら、やってみたいこと」は何か?

「やりたいことは何かって言われても、やれることしかやれないんだよ」という反応に会うことも少なからずあります。

現実はそうそう甘くないんだよ、分かってないね、キミ、というのが表情にありありです。

しかしそんな方に、「あくまで仮に、のお話ですが、目の前の制約・過去のしがらみが一切ないとしたら、どうですか?」と尋ね直すと、「そんなことはあり得ないけど、あり得ないことを考えていいっていうんだったら・・・」と、う~ん、としかめっ面で腕組みをして考え始めます。

しばし沈思黙考ののち、「そんなことでいいんなら、、、例えば・・・」と話し始めるときは、笑顔です。普段は現実問題対処で頭の中はいっぱいですから、それから解放されたと仮想するだけでうれしいわけですね。

質問2:「それ」ができたらどうなるのか?リアルに想像する


さて、やりたいことは、「今は、まだやっていないこと」ですから、未来の話です。

「・・・まぁ、そうは言ってみたものの、現実論では、できるわけないんだけどね」で話を終わらせれば、それまで。

目の前の現実は確固たるものですが、未来はリアリティが低いものです。

ですから、現実論に戻る前に、意識して未来のリアリティを高める作業を行う必要があります。

あなたの「本当にやりたいこと」が何であれ、もし「それ」ができたらどんな未来が実現できるのでしょうか?いくつかの切り口で、ちょっと考えてみてください。

自分自身の収入や資産は?

○年後に○億円、現状の○倍、など

ビジネスの売上や利益は?

○年後に年収○千万円、金融資産○千万円、○○に別荘所有、など

家族の暮らしは?

夫婦で○○に没頭、こどもは○○へ進学、毎年○○へ2週間の家族旅行、など

社員数や処遇は?

従業員○人、業界水準より○割高い給与水準、福利厚生は○○を導入、など

お客様や取引先との関係性は?

長期安定契約○○件、○○社の協力会結成、など

市場でのポジショニングや世間の評価は?

○○地域○○業でNo.1のシェア、○○地域の経営者組織のリーダー、など

 

今と大して変わり映えしない未来しか思い描けなければ、「それ」をやる気はあまり起きません。

おそらく、「本当にやりたいこと」は、別に出てくるでしょう。

しかし、今の延長上で仕事を続けていくだけでは「あり得ない」未来が思い描けたとしたらどうでしょう?どうにかして、実現したい!と思うのではないでしょうか。

実は、それが経営計画を立てて、実行しようとする動機、モチベーションになるのです。

 

質問3:なぜ、「そうなりたい」のか?理由を自覚化する


やる気が出たところで必要なのが、「それ」をやる理由を、自覚化することです。

自分のため?

たとえば「お金がほしい!」でやる気が出たとします。では、なんのために「お金がほしい!」と思うのか、それが理由です。

お金で苦労すると、純粋に「お金がほしい!」と思います。

なぜかといえば、「もう、お金で苦労したくない」から、さらにいえば、「お金がないために、やりたいことを諦めたり、やりたくないことをやり続けたくない」からです。

で、これは典型的に「自分のため」です。

ただ、ビジネスは人とのかかわりの中で営まれるものですから、周囲の応援や協力が必要です。「自分のため」だけでは、人々の共感を得るのは難しいものです。

世のため?人のため?

そこで必要になるのが、「世のため、人のため」という観点です。「世のため」とは、不特定多数の人々、社会全体に対しての貢献です。

「人のため」とは、顔の見える間柄の人々、具体的には、社員、顧客、取引先、近隣住民といった、いわゆるステークホルダーに対しての貢献です。

補助金や融資や出資者を募るというのは、要するに「私にお金をください」ということです。しかし、単にくださいと言われたからあげるという人はいないでしょう。

必ず「何で必要なの?何に使うの?本当にそんなに必要なの?」と聞くはずです。十分な答えがなければ、「それじゃあ、出せないね」となります。

また、いくらがんばっても成果が出ないと疲れてきて、「自分のため」だけだと、諦めてしまいます。

そこでもうひと踏ん張りできるのは、諦めようとしたときに思い浮かぶあの顔・この顔(人のため)、掲げた大義(世のため)があるからこそ。

 

質問4:「それ」を邪魔するものは何か?どう乗り越えるか考える


質問2の答えが目的地とすれば、質問3の答えが、そこを目指す理由です。 西遊記の三蔵法師ならば、目的地は天竺。

天竺を目指す理由は、仏教の原典を中国に持ち帰り(世のため)、翻訳して普及することで人々を救済し(人のため)、自分自身も修行を極める(自分のため)という3つのため、といったことになるでしょう。

そこで、数多の障害を乗り越えて西を目指したわけです。

高く大きく厚いカベを探せ

経営においても、同じように、数多の障害に出合います。いわゆる「カベ」ですね。

「カベ」にぶつかったら諦めるのが簡単ですが、「本当にやりたいこと」には「諦めない理由」があるので、どうにかして乗り越えよう、という方向になります。

数え上げればキリがないのですが、たとえば100個のカベが、すべて均等に1%ずつの重みをもって障害になっている、ということは、ほぼ考えられません。たいていの場合は、「大きなカベ3つか5つ」で7-8割の重みで、残りは、放置しておいても大勢に影響ありません。

そこで、「大きなカベ3つか5つ」は何なのか、特定する必要が出てきます。

「何とかする」のが経営

後は、何とかするマインドです。乗り越えても、ぶち破っても、回避してもかまいません。 「○○がないからダメ」なら、「○○がなくてもやれる方法を見つける」、「○○をよそから調達する」、「○○を持っている人と一緒にやる」といった具合に「ダメ返し」をすればよい、ということになります。

ちなみに、「何とかする」というのはいい加減な言葉のようですが、経営(management)の元々の言葉、manageの意味は「何とかする」ですから、それこそ経営の本質なのです。 目的地から逆算するわけですから、失敗する経営計画の立て方「NGその2:現状分析から始める」には、陥りません。

 

質問5:「いつまでに、どこまで到達する必要があるか?」目標を立てる


さて、ここまで考えが整ってくれば、残されているのは、目標を立てることです。

目標の立て方

目標とは、「そうなりたい」の状態にどれだけ近づいているかを図る指標です。

逆に言うと、追いかけつづけていれば、ついに「そうなれる」ような指標です。

目標は、できたか/できないか、達成したか/達成できなかったか、○×判定できることが必要です。

売上目標10億円とした場合、10億円ぴったりなら○、9億9999万9999円でも、1円下回っているから×です。

もう1つ、○×判定する期日もあらかじめ決めておく必要があります。

売上目標1億円というだけでは、いつのことか分かりません。5期後の○年○月決算期の売り上げ目標であれば、その期の期末日が○×判定をする「審判の日」となります。

ほかにも目標設定において考えた方がよいことはいくつかありますが、最低限、○×判定できる指標で、○×判定する期日を決めておけば大丈夫です。

目標は刻んでいくもの

大きくて高い目標、難しい目標は遠くに期日を設定し、その手前に、小さく低い、比較的容易な目標を刻んでいきます。

いきなりオリンピックの金メダルを目指すスポーツ選手はいません。

その前に国の代表に選ばれること、その前に強化選手に選ばれること、その前に国内大会で好成績を収めること、その前に地方大会や県大会で優勝すること、その前に・・・といった具合に、未来から現在に向かって、逆算して目標を設定していくはずです。

そして、近いものから順々に目標を達成していくプロセスを言葉にしていくと、、、そうです、それが計画を立てるという作業になります。

先ほど例に挙げた5期後の売上目標10億円を達成する経営計画も、同じです。

逆に、この5つの質問の答えがないまま、経営計画を立てようとしても、徒労に終わることは初めから決まっているようなものです。

 

まとめ

さて、ここまで5つの質問に答えを出すのに、どのくらいの時間がかかるでしょうか?一人で白紙に向き合って悶々と考えていると、何日かかっても考えがまとまらず、発散したり、混乱したりしがちです。

そうならないためには、時間を決めて、とにかく仮でいいから答えを書いてみる、というやり方が1つ。

ですが、失敗しない経営計画の立て方「NGその5:時間をかけすぎる」を避けるには、いちばんのオススメは、傾聴スキルをもった信頼できる人に、5つの質問を投げかけてもらい、答えを聞いてもらうことです。

 

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ライター紹介 ライター一覧

西原 弘

西原 弘

(にしはら ひろし)


経営計画コンサルタント

自分もクライアントも、「自営業という生き方」「経営者という生き方」でよかったと人生をまっとうできる、「会心の経営、会心の人生」を追求しています

略歴
・神奈川県川崎市、小売酒屋の次男に生まれる(1968)
・東京大学文学部卒業(1991)
・株式会社三菱総合研究所研究員(1991-2002)
・有限会社サステイナブル・デザイン研究所設立・代表(2002-)

コンサルティング/コーチングの基本原則
・社内にいない・雇用で確保できない人材の穴を埋めます:社外部長(社外CXO)
・規模によって異なる社長の課題と役割にフォーカスします:ひとり社長経営・脱ひとり社長経営・チーム経営・組織経営
・業種・業態を問わない成功方程式があります:あり方×なり方×やり方×つづけ方=目標達成

心の言葉
・心の欲する所に従って矩を踰えず(孔子)
・不易流行(松尾芭蕉)
・為せば成る(上杉鷹山)
・ピンチはチャンス(福岡正伸)
・感動で決断、論理で実行(西原弘) 

教育・講座(代表例)
・立教大学観光学部兼任講師(環境社会学)(2003-2006)
・島づくり人材養大学講師(2007-)
・ひとり社長大学主宰(2014-)
・2015-16年度第2創業スクール講師(御茶ノ水・虎ノ門・品川・表参道)
・20717年度しまビジネス創業スクール主宰・講師

資格・登録
・技術士(衛生工学部門)
・エコアクション21審査人
・キャッシュフローコーチ
・あしたの給与コンサルタント
・セールスレップ2級
・アンガーマネジメントファシリテーター
・健康経営アドバイザー(初級)

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