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2019年の補助金はどうなる? H30補正・H31当初予算(2/6更新)

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平成31年度政府予算案の全体像

平成31年度政府一般会計予算は、大枠としては、当初予算としては初めて100兆円の大台に乗ったこと、一般会計税収が60兆円を超える見込み(62.5兆円)であることが特徴です。今回の税収増には、10月の消費税率アップが織り込まれています。
ちなみに、税収が60兆円を超えるのは、1990(平成2)年度の60.1兆円以来のことです。このときは消費税導入(1989年)の直後で、バブル経済の末期でもあり赤字国債の発行もありませんでした。
予算案そのものをじっくり見てみたいという方は、財務省のWEBサイトでどうぞ。


予算審議状況

衆議院通過(2/5)

2019年2月5日、衆議院本会議で平成30年度第2次補正予算が可決されました。

 

中小企業向け予算

予算規模は補正で大幅増

中小企業対策費は、経済産業省予算で計上されています。
当初予算規模は過去3年横ばいで、1110億円台で推移してきていますが、補正予算が大幅増額となっています。

事業承継・再編・統合等が重要課題

予算項目の並びでいうと、「事業承継・再編・統合等による新陳代謝の促進」が筆頭となっています。
新陳代謝の促進自体は、数年前から、開業率・廃業率をそれぞれ10%に引き上げるという政策目標を掲げてきたことです。
しかし、その手段として、数年前は創業補助金による開業率向上が主体でしたが、今や事業承継・再編・統合等がメイン施策となっています。
政策手段としては、2018(平成30)年度からの流れを汲んだ事業承継補助金と事業承継関連税制の強化です。

背景としては、団塊世代経営者が一斉に70歳を迎え始める「2017年問題」があると考えられます。
およそ10年前には、団塊世代サラリーマンが一斉に60歳定年を迎える「2007年問題」が大きな話題となっていましたね。
しかし、経営者には定年はありませんから、そこで引退ということになはならず、10年がたちました。
最近の統計では、社長交代の平均年齢は70歳手前とされており、いよいよ団塊世代経営者の引退が現実化し始める時期なのです。

ところが、後継者が確保できなければ、社長が引退する道は、事業承継ではなく、廃業か、M&Aか、ということになります。
廃業が増えてしまったら、日本経済・地域経済は大変なことになって今いますから、政策課題として、事業承継とともに、再編・統合等が並ぶこととなるわけです。
社長は引退しても、事業は存続させてほしい、そのために、税制と予算を動員しますよ、という政府のメッセージですね。

とはいえ、予算規模としては30年度補正・31年度当初予算併せても100億円少々です。

予算規模が大きいのは生産性向上・人手不足対策

政策の看板は変われど、メニューとしては定番化したともいってよい、「もの補助」「持続化補助金」「IT補助金」の”バラマキ3兄弟”中心に30年度補正で1,100億円。

ものづくり補助金

「もの補助」は、夏の省庁要求段階では100億円でしたが、半分の50億円に減額査定されて31年度当初予算にも組み込まれています。
ただし、

  • 30年度補正:ものづくり・商業・サービス補助金
  • 31年度当初:ものづくり商業・サービス高度連携促進事業

と、事業名が変化しています。略せば「もの補助」かもしれませんが、中味は大きく変わりそうです。

設備投資・試作開発をしたい、29年度補正では不採択に終わったけれで再チャレンジしたい、という方は、30年度補正に向けてすぐさま準備開始が必要です。

すでに2018年12月28日には公募予告が行われており、「約2か月の公募期間を設けるほか、早期に公募を締め切って審査し、採択発表を速やかに(可能ならば年度内に)行うことを検討中です。」とされています。
どんなに早くても2月後半からの公募開始で、早ければゴールデンウィーク手前まで、遅ければゴールデンウィーク明けまでの公募期間としたうえで、3月末に早期締切を設定する想定ではないかと推測されます。
再チャレンジの方は、これを狙いたいですね。

一方、「夏以降に2次公募を行うことも予定しています。」ともされているので、新たにチャレンジを考える方は、こちらに照準を合わせた方がよいかもしれません。もちろん、間に合えば1次公募の方がベターです。

小規模事業者持続化補助金

この補助金は、販路開拓支援が主目的ですが、生産性向上の要素が次第に入り込んできています。30年度補正の公募内容がどう変わるか。
元々、「地道な販路開拓」を支援するのが「持続化補助金」ですから、ポスティング等のエリアマーケティング、看板や内外装のリニューアル、展示会出展等、アナログ的な取組が向いています。

HP作成については、29年度補正予算のメニューでは、IT導入補助金の方がやりやすかったのですが、30年度補正では「持続化補助金」の範疇になりそうです。

上限50万円・2/3補助は変わらないようです。

IT導入補助金

3度目の登場となるIT導入補助金。100億円、500億円と予算規模が拡大してきましたが、30年度補正ではどれだけが割り当てられるでしょうか。

というのも、29年度補正では、元々、6月・8月・10月までの3次公募で終わる予定でしたが、3次公募が第7回締切まで追加され、時期的には年末まで申請時期が伸ばされたからです。
つまりそれだけ申請数が伸びず、予算消化が難しかった、ということでしょう。

これには、面倒な手続きやフォローアップの義務を負いたくないITツール販売者がベンダー登録を好まなかった、という供給側の事情と、1/2補助を差し引いても最低15万円以上のIT投資(一時的には30万円以上の支払い)は、特に小規模事業者にとって必ずしもハードルが低くなかった、という需要側の事情があるでしょう。

30年度補正では、上限450万円(下限40万円)・1/2補助となるようです。

また、補助対象は、「日々の経理を効率化する会計ソフト・顧客情報等を一元管理するクラウドシステム等のITツール」となりで、HP作成は外れるようです(少なくとも、現時点で公表されている資料からは読み取れません)。

金額・内容から考えて、実質的に、ある程度の事業規模の会社向けの補助金になったものと思われます。

予習が大事

補助金のご相談は、公募が始まってから受けることが多いのですが、99%といってよいくらい、それでは間に合いません。
せっかく、予算情報が公開されているのですから、「ご利用は計画的に」、そのためには「予習が大事」です!

1年の計は元旦にあり、と言います。年初にあたり、今年1年の事業展開を考え、その中でうまく公的資金活用を考えていきましょう。

中小企業庁も、例年になくわかりやすい情報提供をしてくれていますよ。

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ライター紹介 ライター一覧

西原 弘

西原 弘

(にしはら ひろし)


経営計画コンサルタント

自分もクライアントも、「自営業という生き方」「経営者という生き方」でよかったと人生をまっとうできる、「会心の経営、会心の人生」を追求しています

略歴
・神奈川県川崎市、小売酒屋の次男に生まれる(1968)
・東京大学文学部卒業(1991)
・株式会社三菱総合研究所研究員(1991-2002)
・有限会社サステイナブル・デザイン研究所設立・代表(2002-)

コンサルティング/コーチングの基本原則
・社内にいない・雇用で確保できない人材の穴を埋めます:社外部長(社外CXO)
・規模によって異なる社長の課題と役割にフォーカスします:ひとり社長経営・脱ひとり社長経営・チーム経営・組織経営
・業種・業態を問わない成功方程式があります:あり方×なり方×やり方×つづけ方=目標達成

心の言葉
・心の欲する所に従って矩を踰えず(孔子)
・不易流行(松尾芭蕉)
・為せば成る(上杉鷹山)
・ピンチはチャンス(福岡正伸)
・感動で決断、論理で実行(西原弘) 

教育・講座(代表例)
・立教大学観光学部兼任講師(環境社会学)(2003-2006)
・島づくり人材養大学講師(2007-)
・ひとり社長大学主宰(2014-)
・2015-16年度第2創業スクール講師(御茶ノ水・虎ノ門・品川・表参道)
・20717年度しまビジネス創業スクール主宰・講師

資格・登録
・技術士(衛生工学部門)
・エコアクション21審査人
・キャッシュフローコーチ
・あしたの給与コンサルタント
・セールスレップ2級
・アンガーマネジメントファシリテーター
・健康経営アドバイザー(初級)

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