29年度補正「小規模事業者持続化補助金」 落ちない申請書の書き方5つのポイント
小規模事業者の販路開拓を支援する補助金
まず、補助金の基本的な話を確認しておきます。
スケジュールが合いますか?
平成25(2013)年度から始まった、「小規模事業者が商工会・商工会議所と策定した経営計画に基づいて行う販路開拓の取組等を支援する」補助金で、HP作成・商品カタログ作成・商品パッケージリニューアル・展示会出展等の、直接的な顧客獲得に結び付く取組が補助対象となります。
大まかなスケジュールは次のとおりです。
- 申請期限:5月18日(当日消印有効)
- 採択結果発表:7月中(予定) ※7月末日と想定しておきましょう
- 交付決定:申請内容等に修正がなければ「交付決定通知書」がすぐに届きます。修正が必要な場合は、それが終わった後になります。
- 事業着手:「交付決定通知書」に記載の日付以降に着手できます。 ※それより前に、発注・契約・支払等を行ってしまうと、申請書は採択されても補助金の対象外となるので、あせらないでくださいね。
- 事業完了:12月31日 ※計画どおりに事業を実施し、すべての支払いを行い、実績報告書等を提出し終わって、「完了」です。
つまり、あなたがやりたい販路開拓の取組があるとして、それを8月ごろ~12月31日の間に実施するなら、補助金の対象になり得ます。
いや、そんなに待ってられないよ、すぐにもやりたいんだよ、という場合は、すぐにやってしまいましょう。その上で「次の矢」としてやりたいことがあれば、それを補助事業として申請することをお勧めしています。
逆に、12月31日までに終わるかどうかわからないような場合、事業完了できなければ、補助金の受給は受けられないので、余裕のある計画にしておく必要があります。
まず、スケジュール感が合うかどうか、これが最初の確認事項です。
小規模事業者とは?
この補助金の背景には、平成26(2014)年の「小規模企業振興基本法及」び「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律(小規模支援法)」があります。中小企業基本法があるのに、その中でもわざわざ「小」だけに絞った基本法を成立させたということは、相当の長期的視野にもとづいて、恒久的に小規模企業を支援する必要があるという政策判断がなされた(つまり、政権交代があってもなくても継続する)、と考えられます。小規模事業者の定義は以下のとおり。
- 製造業その他、サービス業のうち宿泊業・娯楽業:従業員20人以下
- 卸売業・小売業、サービス業(宿泊業・娯楽業以外):従業員 5人以下
ちなみに、日本の企業体の93%(15社中14社)が20人以下ですから、大半の事業者が対象になります。
予算総額は120億円で、従来どおり1社あたり補助金額上限50万円なので、単純計算すると、120億円÷50万円/社=24000社の枠があるということになります。
ものづくり補助金の項で触れた2017年11月16日の安倍総理大臣の発言でも、
商工会の皆さんと一緒に進めている持続化補助金も更に活用しながら、小規模事業者の生産性向上にも全力を尽くします。
ということだったので、それを予算で表現したらこうなった、ということですね。
補助対象は事業を行っている「会社」と「個人事業主」
次の3つ、よく聞かれます。
- NPO法人でも申請できますか?
- 一般社団法人は補助の対象ですか?
- これから起業するんですが、補助を受けられますか?
答えは、残念ながら、すべてNOです。
この補助金の対象は、基本的には「会社」と「個人事業主」だけです(会社に準ずる営利法人として、企業組合・協業組合も補助対象に入っています)。
会社とは、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社です。法人設立登記済みであること。
個人事業主は、開業届出済みであること。
ここまで読んで、
- 従業員規模が所定の人数を越えている
- 補助対象にならない事業体である
のいずれかに該当した方は、申請を出しても採択されることはあり得ませんので、ここまでです。
- 従業員規模が人数以下である。
- 補助対象になる事業体である
の方のみ、先に進んでください。
補助対象事業の内容
補助対象となる事業は、次のように定義されています。
策定した「経営計画」に基づき、商工会議所の支援を受けながら実施する地道な販路開拓等のための取組であること。
あるいは、販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること。
地道な販路開拓とは?
では、「地道な販路開拓」ってどういうことでしょうか?例示をみると、下表のようになっています。
あくまで例示なので、これだけが対象になるという意味ではないので、お間違いなく。
なお、国内市場だけでなく、海外市場の販路開拓も対象になります。消費者向け(BtoC)でも、企業向け(BtoB)でも対象になります。
事業内容(地道な販路開拓)の例示 | 費目 |
新商品を陳列するための棚の購入 | ①機械装置等費 |
新たな販促用チラシの作成、送付 | ②広報費 |
新たな販促用チラシのポスティング | ②広報費 |
新たな販促用PR(マスコミ媒体での広告、ウェブサイトでの広告) | ②広報費 |
新たな販促品の調達、配布 | ②広報費 |
ネット販売システムの構築 | ②広報費 |
国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加 | ③展示会出展費 |
新商品の開発 | ⑤開発費 |
新商品の開発にあたって必要な図書の購入 | ⑥資料購入費 |
国内外での商品PRイベント会場借上 | ⑧借料 |
ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導、助言 | ⑨専門家謝金 |
(買物弱者対策事業において)移動販売、出張販売に必要な車両の購入 | ⑪車両購入費 |
新商品開発に伴う成分分析の依頼 | ⑬委託費 |
店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む。) ※「不動産の購入・取得」に該当するものは不可 | ⑭外注費 |
例示だけで、一般的な判断基準はないのでしょうか?
公募要領に「審査の観点」というものが掲載されています。審査の観点は、大きく基礎審査と加点審査の2つに分かれます。
このうち、基礎審査の項目は、1項目でも要件を満たさなければ、それだけで「失格」です。
次の要件を全て満たすものであること。要件を満たさない場合には、その提案は失格とし、その後の審査を行いません。
①必要な提出資料がすべて提出されていること
②「補助対象者」「補助対象事業」の要件に合致すること
③補助事業を遂行するために必要な能力を有すること
④小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組であること
このうち、④に該当するかどうかが、「地道」かどうかの判断の分かれ目となると考えられます。
つまり、
- 小規模事業者が主体的に活動しない取組
- 小規模事業者の技術やノウハウ等を基にしていない取組
と判断されないような販路開拓等の取組であることが必要です。
業務効率化(生産性向上)
同様に、業務効率化(生産性向上)の取組とは、どういうものでしょうか?これも表にしてみました。
なお、「地道な販路開拓」なしで、業務効率化(生産性向上)だけの申請は、「本補助金の趣旨に反し、認められません」ということなので、ご注意ください(その場合は、IT導入補助金を申請すればよい話です)。
事業内容(業務効率化(生産性向上))の例示 | 費目 |
業務改善の専門家からの指導、助言による長時間労働の削減 ※1 | ⑨専門家謝金 |
従業員の作業導線の確保や整理スペースの導入のための店舗改装 ※1 | ⑭外注費 |
新たに倉庫管理システムのソフトウェアを購入し、配送業務を効率化する ※2 | ①機械装置等費 |
新たに労務管理システムのソフトウェアを購入し、人事・給与管理業務を効率化する ※2 | ①機械装置等費 |
新たにPOSレジソフトウェアを購入し、売上管理業務を効率化する ※2 | ①機械装置等費 |
新たに経理・会計ソフトウェアを購入し、決算業務を効率化する ※2 | ①機械装置等費 |
※1「サービス提供等プロセスの改善」の取組事例イメージ
※2「IT利活用」の取組事例イメージ
1年以内に売上につなげてください
事業内容は以上のようなイメージですが、もう1つ重要な要件があります。公募要領には、こう書いてあります。
本事業の完了後、概ね1年以内に売上げにつながることが見込まれる事業活動(=早期に市場取引の達成が見込まれる事業活動)とします。
経営計画(様式2)では、2年後3年後5年後と中長期的な見通しを立てることが求められるのですが、補助事業計画(様式3)では、1年以内の売上計画を立てる必要がある、ということです。
チラシ、店舗改装、展示会、ECサイトなどは、言われなくてもすぐ売上につなげたいからやるわけですが、新商品の開発で申請する場合は、この点に留意する必要があるでしょう。
ここまで読んで、
- 自分(自社)のやりたいことが補助対象事業になりそう
か、イメージができましたか?
答えがYESの方は、
H29補正 小規模事業者持続化補助金の「申請書をその場で書いちゃう」会というワークショップを開催しますので、
ご参加いただいて申請書の粗筋を書き上げてみてはどうでしょう。
答えがNOの方は、それがどうしてもやりたいことであれば、自己資金で実施するか、この補助金以外の資金調達方法を検討することが必要ですね。
YESともNOとも判断がつかないよ、という方は、この先も読み進めてみてください。
落とされない申請書の書き方5つのポイント
さて、ここから具体的な話に入ります。
ホームランを狙うのではなく、空振りをしない
せっかく多大な労力をかけて、思いのたけをぶつけて書いた申請書ですから、ぜひとも採択されてほしいですね。
しかし、思いのたけをぶつければぶつけるほど、採択される確率は下がっていくと考えたほうがよいでしょう。
なぜなら、「思いのたけ」は審査困難だからです。
補助金の申請は、申請書(計画内容)を審査員が審査して点数をつけ、点数の高い順に採択されていきます。
申請者と審査員では、立場が違うだけでなく、申請書を見る目線が違うということを知っておく必要があります。
かくいう私は以前、受託業務で補助金申請の審査業務を担当したことがあるので、この違いが実体験としてあります。
しかし、審査員の目線は、実は、あらかじめわかっています。誰でも見ることができます。
小規模事業者持続化補助金の場合、公募要領(商工会議所版)の79ページから80ページにかけて、「表1 審査の観点」という表が記載されています。
審査の「観点」、言い方を変えると、そう、目線そのものです。
落とされない申請書の1つ目のポイントはシンプルです。「審査の観点」に記載されている項目のすべてに対して、審査の材料を提供することです。
自分がアピールしたい項目については必要十分、あるいはそれ以上の文章・数値・図表等が記載されていても、まったく触れられていない項目があったら、その項目は審査不能ということになります。
つまり零点です。そんな項目がいくつもあったら、トータルの審査結果はどうなるか、明らかですよね。
これが、ホームランを狙いにいって、空振り三振を喫してしまう不採択パターンです。
繰り返しになりますが、空振りをしないというのは、「審査の観点」に記載されている項目のすべてに対して、審査の材料を提供することです。
過去に不採択になったんだだよ、という方、あらためてその申請書、読み直してみてください。ブンブン空振りしているかもしれないですよ。
記入例は参考にしない
公募要領には、何年も同じ、「海鮮居酒屋の鱈バーガー・鱈チップスの開発・販路開拓」の記入例が記載されています。
しかし、この記入例を参考にしない、というのが2つめのポイントです。
まず単純に、記入例と同じような事業内容を書いて、通るはずがありません。事業内容の参考にしてはいけないし、なるはずもありません。
次に、この記入例は、補助金の対象となる14種類の費目のうち、⑨⑩⑪⑫を除く、10種類の費目を計上しています。実際問題、こんなに多種類の費目を計上したら、見積取得や精算がとても面倒になります。金額の大きい主要な経費のみを補助対象として申請することを私はお勧めしています。
①機械装置等費、②広報費、③展示会等出展費、④旅費、⑤開発費、⑥資料購入費、⑦雑役務費、⑧借料、⑨専門家謝金、⑩専門家旅費、⑪車両購入費(買物弱者対策事業の場合に限ります)、⑫設備処分費(補助対象経費総額の1/2が上限)、⑬委託費、⑭外注費
ちなみに自分自身で受給した際は、ホームページ構築(CMS)、写真撮影、動画撮影・編集の3種類だけ(いずれも広報費)にしました。
で、記入例というのは、事業内容ではなく、記入の仕方の参考のためにあるので、これだけ多くの費目を対象にしていると考えられます。これを真似して、あとで大変な思いをしても、それは自己責任です。
よく見ると、「記載の例および記載する内容の説明です」と注意書きも書いてありますが、これは「書き方」の例であって内容の例ではないですよ、という意味です。
最後に、この記入例は、経営計画書(様式2)が2枚、補助事業計画書(様式3)の事業内容が1枚、実質計3枚になっています。
これを見て、このくらいの分量と記載の精度でいいんだ、と思ったら大間違いです。
「審査の観点」に記載されている項目のすべてに対して、「ちょっとずつ」審査の材料となる情報は記載されているかもしれませんが、必要十分な量かというと甚だ疑問です。
空振りはしないかもしれませんが、バットにかするくらいではダメですよね。
なにしろ、あなたの申請書を読む審査員の方は、あなたも、あなたの会社も、あなたの商品・サービスも知らないし、もしかしたらあなたのビジネス自体も初めて見るものかもしれません。
その審査員に、各審査項目について、高い点をつけてもらう必要があるわけです。
補助金の申請書というのは、何の面識もない相手に、「お金をください」という内容の手紙を書くようなものです。しかも、会って話すことすらできないのです(書類審査のみです)。
もし本当にそうする必要があったら、あなたはどのような手紙を書くでしょうか?
What(やること)よりWhy(何のために)の方が大事
小規模事業者持続化補助金の申請には、5種類の様式と必要添付書類の提出が必要です(書類の提出もれは、それだけで不採択理由になりますので、提出前は念入りに最終確認が必要です)。
さて、これが5種類の様式です。内容的に重要なのは様式2と様式3です。
- 様式1:申請書 ※いわゆる鑑(表紙)です
- 様式2:経営計画書
- 様式3:補助事業計画書
- 様式4:事業支援計画書 ※商工会議所から交付を受ける
- 様式5:交付申請書 ※通常は採択された後に出すものですが、この補助金では手間を省くために申請時に出すことになっています
- 注)代表者の年齢(平成29年12月31日現在)が満60歳以上の場合のみ、上記5種類に加え、商工会議所から様式6:事業承継診断票の交付を受けて提出する必要がありますので、ご注意ください。
さて、様式2:経営計画書と様式3:補助事業計画書は、どのような関係にあるのでしょうか?
といいますか、この2つの計画書の関係性を意識して申請書を書いている方が、どれだけいらっしゃるでしょうか?
あくまで私の理解ですが、この関係性は、下図のようになります。
様式2:経営計画書が、様式3:補助事業計画書の前提条件になるということです。
さらに具体的にいえば、経営計画書の最後に記載する「経営方針・目標と今後のプラン」を実現するために、補助事業を行う必要があり、それをやると、目標の達成や今後のプランの実現につながる、というストーリーになっている必要があるのです。
これ、出てきた順番は3番目ですが、重要度では圧倒的に1番の最重要ポイントです。
チラシだ、ホームページだ、展示会だ、etc.と、補助事業の内容(What)の方にばかり気を取られて、経営計画をおざなりに書いていると、何のために(Why)がさっぱりわからない申請書になってしまいます。
しかし、様式3がどんなに優れた内容でも、前提条件(様式2)が×なら、その先の話(様式3)は審査不能というか、審査不要です。
審査の観点にも、
地道な販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。
と明記されています。
何のために(Why)、つまり様式2:経営計画書の方が、実は重要だということを忘れずに。
What(やること)よりも、やった結果の方が大事
補助事業の内容(What)を書くのが様式3:補助事業計画書ですが、最終的に、補助事業を実施した結果がどうなるのか、定量的に記載することが必要です。これが4つ目のポイントです。
前にも引用しましたが、
本事業の完了後、概ね1年以内に売上げにつながることが見込まれる事業活動(=早期に市場取引の達成が見込まれる事業活動)とします。
と公募要領に書かれています。
したがって、様式3の「補助事業の効果」の欄には、概ね1年以内に上がる売り上げの見込を書く必要がありますね。
このとき、「お客さんが増えます」とか「単価がアップできます」とか「売上が大きく増えます」といった、定性的な記載では不十分です。
売上がいくらか分からなければ、投資回収効果が計算できないので、補助事業の有効性(審査の観点)を評価できません。
ということはつまり、審査不能、空振り三振になります。
では、売上の数字が書いてあればいいのかといえば、そうではなくて、どんなお客さんがどれだけ増え、単価がいくらだから、売上がこれだけ増えます、と売上方程式で計算プロセスと結果まで書いておくことを推奨しています。
売上方程式:(増加)客数×(想定)単価×(想定)リピート回数=売上見込金額
で、最初の(増加)客数こそが、実施する補助事業の直接の効果ということになります。
つまり、
補助事業の実施→客数の増加→売上方程式による売上見込
という展開に十分な納得性があるかということが、審査のポイントとなるわけです。
単に「やりました、こうなると思います」では、根拠薄弱ですよね。
やること(What)というのは、誤解を恐れず敢えて極端な言い方をすれば、なんだってかまわないのです。
それが客数の増加を通じて売上の増加につながり、ひいては様式2:経営計画書に書いた将来の目標の達成や今後のプランの実現につながるかどうかが重要なのです。
精度の高い見積をとる
様式3:補助事業計画書の内容を書いた後に、経費明細表を記入します。
最後のポイントは、必ず、単価×数量=合計金額の計算式で、検算できるように記載しましょう、ということです。
ただ、そうは言っても、発注先の業者が「一式」でしか見積を出してくれないんだよ、という場合もあるかもしれません。
たとえば内装工事一式のような場合、単価×数量で積算するのは難しいと思われますが、極力、単価×数量の打ち明けが記載されている見積をとってください。
実は、申請書に見積書を添付する必要はないのですが、申請時はラフな見積で、採択・交付決定後に発注に際して、あらためて見積をとったら金額が大きく増減していしまったりすると、やっかいです。
なぜかといえば、そのような事情があっても交付決定金額は変更されないし、一定以上の金額の変動があった場合、事前の計画変更の承認が必要になるからです。
この承認を受けずに補助事業を実施してしまうと、「聞いてないよ」ということで、補助金を受給できなくなってしまいます。
したがって、申請時点で、必ず精度の高い見積をとることを推奨していますし、そのためには、補助事業の内容をしっかりと精査することが必要です。
なお、公募要領の経費明細表の注釈で、「経費内訳・補助対象経費は「概算」で計上可能です」と書いてあるのですが、それを真に受けて、後で困るのは自分です。
多くの場合、20%以内の金額の変動は「軽微な変更」という扱いで、計画変更なしで実施できるのですが、1万円の20%といえば2千円ですね。このために面倒な手続きを発生させるのはいかがなものかと思うのです。
記入例を参考にしないの項で、金額の大きい主要な経費のみを補助対象として申請することを推奨しましたが、それはこういうことも考慮してのことです。
番外:申請書にかけていい時間数を決める
さて、ここまで申請の内容部分である様式2・様式3を中心に、5つのポイントを解説してきました。
これで「よしわかった、書けそうな気がするぞ」という方もいれば、「う~ん、話はわかったけど、実際書くのは苦手だし」という方もいると思います。
そこで、オマケのポイントがこれ、申請書にかけていい時間を決めることです。
経営者の仕事はたくさんあり、従業員よりも時間価値ははるかに高いはずです。
仮にこの補助金の申請書づくりにあなたが100時間をかけたとしましょう。得られる成果は、補助金50万円です。
補助金は経理上は雑収入として営業外収入に計上されるので、ざっくり、本業以外での売上と同じ扱いと考えればよいでしょう。
で、計算すると、
50万円÷100時間=5千円/時
ということになりますね。
経営者の仕事として、これでOKでしょうか、NGでしょうか?(ちなみに私の場合はNGです)
OKならば、100時間かけて申請書を書けばよい、ということになりますが、NGならば、では何時間までならかける価値があるのかを計算する必要があります。
これは、あなたが1時間当たり、いくらの売上を上げるビジネスをしているかに大きく影響されるので、一概に何時間までならOKとは言えません。
ただ、本記事を読んだことで(所用時間は0.5時間以内でしょうか?)、少しでもあなたの時間短縮に役立ったようなら幸いです。
ぜひ、時間価値に換算してみてください。
関連記事▶ 2018年の補助金はどうなる? H29補正予算・H30当初予算
まとめ
今年の小規模事業者持続化補助金の公募要領には、一次募集、二次募集という表現は見当たらないので、基本的には一発勝負と考えておきましょう。
とくに、例年、様式2:経営計画書をうまく書けずに苦労している方が多いようです。しっかり準備をして間に合わせたい方は、ご都合が合うようでしたら、H29補正 小規模事業者持続化補助金の「申請書をその場で書いちゃう」会にご参加下さい。これも時間短縮の1つの方法です。