H30補正「IT導入補助金」解説
H30補正IT導入補助金の特徴(2/3)
IT導入補助金は、H28補正予算から始まった、中小企業のIT投資を支援するための補助金です。
初年度100億円の予算が、2年目のH29補正予算では500億円と大幅増額となりました。
この補助金の特徴は、ITツールを購入する事業者(補助事業者)ではなく、ITツールを販売する事業者が補助金申請及び実施報告業務を代行する点です。
補助事業者にとっては、導入するITツールを選定し、どこから購入するかを決めれば、あとはIT導入支援事業者にほぼお任せとなるので楽です。
一方、IT導入支援事業者は、普通に営業して販売するより手数がかかり、申請・審査を待つ期間だけクロージングが遅くなります。
このため、IT導入補助金を知っていても、(というより知っているがゆえに)あえてIT導入支援事業者として登録しないIT企業も多く、また、登録した後の手続き業務で苦労しているところが少なからずあるのではないでしょうか。
補助金の概要
対象事業者
中小企業、小規模事業者(飲食、宿泊、小売・卸、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等も対象)、とされています。
中小企業の定義は次のとおり。
小規模企業者の定義は次のとおり。
対象事業
日々の経理を効率化する会計ソフト・顧客情報等を一元管理するクラウドシステム等のITツールの導入が対象です。
具体的には、
日々の経理を効率化する会計ソフト
顧客情報等を一元管理するクラウドシステム
職員間のコミュニケーション・システム
飲食店のセルフオーダーシステム
などの導入です(ハードは対象外)。
H29補正では対象となっていた、ホームページの新設・全面リニューアルは外れたようです(小規模事業者持続化補助金でカバーされます)。
また、スクラッチ開発は引き続き対象外になると想定されます。
補助額・補助率
補助額は上限450万円・下限40万円、補助率は1/2です。
ちなみにH28補正・H29補正では、補助率は同じ1/2ですが、上限50万円・下限15万円でしたから、より大規模な投資を想定していることになります。
100万円~1,000万円オーダーのIT投資となりますから、中小企業の中でも、
- ある程度以上の規模がある
- 当期大幅黒字予定である
- キャッシュフローに余裕がある
など、実際に使えるところは限られてくるのではないでしょうか。
なお、ITツール導入による生産性を向上させた事例情報が提供されているので、ITツールといってもいまいちピンと来ない向きは、参照してみると具体的なイメージがつかめるかもしれません。
スケジュール
まず、補正予算なので、予算の成立(衆参両院での予算案の可決)が前提条件となります。
ただ、H29補正IT導入補助金の最終の実績報告期限が1月31日で、これから大量のチェック・交付業務が待ち受けています。
補助金事務局の公募はまだ行われていませんが、H29補正の事務が一段落しないことには、次にとりかかれないのではないでしょう。
参照資料
以上の記述は、下記資料に基づいて筆者の見解をまとめたものです。
ご興味ある方は、直接原典をご確認ください。